殺人感染

2人して廊下に戻り、血なまぐささに顔をしかめた。


廊下にもあちこちに死体が転がっていて、血ですべってしまいそうになるほどだ。


こみ上げてくる吐き気を必死に抑えて、あたしたちは足を前へと進めた。


「これからどうするの?」


「とにかく、学校から出よう」


そう言われて昇降口の様子を思い出す。


あそこには柔道部の4人が立ちはだかっているはずだ。


身を潜め、音を立てないように昇降口へと移動する。


そこはもっとも死体が多い場所だった。


逃げ惑う生徒たちは一網打尽にされ、容赦なく殺されていった。


つき重ねられた死体は数知れない。


「ダメだよ純也。まだいる」


廊下の隅から様子を伺うと、柔道部の生徒がそこに立っているのが見えた。


手も制服も真っ赤に染まっている。


「ここからじゃ無理か。でも、窓からなら出られるかもしれない」


純也がそう言ったときだった。


振り向いた瞬間灰色の目をしている生徒がこちらへ走ってくるのが見えたのだ。


陸上部の生徒だろうか、そのスピードは早くてあっという間に近づいてくる。


「まずい!」


純也があたしの手を引いて走りだす。


血にぬれる廊下に足を取られながら懸命に走る。


相手は悪い道でも走りなれているのか、簡単に死体を飛び越えてすぐ後ろまで迫ってきている。


悲鳴が喉の奥に張り付き、声さえ出せない。


心臓が爆発しそうなほど早鐘をうち、肺が痛く感じる。


迫ってくる生徒が手を伸ばすのが見えた。


もう、ダメだ……!


髪の毛をつかまれそうになったそのときだった。


純也に手を引かれてあたしはどこかの教室内に滑り込んでいた。


そのまま床に転がってしまう。