殺人感染

体全体でタックルするようにして太君にぶつかった。


でも……鍛え上げられた体はビクともしない。


太君は女子生徒を締め上げたまま、あたしへ視線を落としたのだ。


その威圧感に全身から血の気が引いていくのを感じた。


太君が女子生徒を手から離す。


女子生徒は身がまえることもなく無力に落下し、頭が床にぶつかった瞬間ゴッ! と鈍い音が聞こえた。


その目は見開かれ、もう何も見ていないことがわかった。


死んでる……!


悲鳴が喉に張りついて出てこない。


目の前で同級生が殺された事実に頭の中が真っ白になる。


その間に太君の手があたしに伸びていることに気がつかなかった。


大きな手があたしの視界に入ったとき、ようやく顔を上げたのだ。


まずい……!


太君の手は今度はあたしを狙っていた。


教室内では他の3人が暴れていて、みんな人のことを気にしている場合じゃなかった。