殺人感染

☆☆☆

あたしは自分の席に座り、呆然と黒板を見つめていた。


今日はまだ1度も使われていない黒板は綺麗なままだ。


「理恵も幸子も、どうしちゃったんだろうね」


隣の席の雪が呟く声が聞こえてきて、視線をそちらへ向けた。


雪は少し泣いたようで、目が赤くなっていた。


「わからない……」


あたしは力なく左右に首を振った。


幸子の灰色の目を思い出して強く身震いをする。


あの目に見つめられたとき、体中が凍り付いてしまったようだった。


恐怖で全く動けなかったし、純也がいなかったらあたしは今頃……。


そう考えて大きく息を吐き出した。


「あの目、悪意しかなかった。しかもそれを楽しんでいるようにも見えた」


あたしは灰色の目に感じたままを口にした。


雪が眉を寄せて「楽しむ?」と、聞き返してきた。


「うん。わからないけど、そんな気がしたんだよね」


だけど幸子自身が望んで動いているようには見えなかった。


まるで何者かに操られているような……。


そこまで考えて、ふいに噂話を思い出した。