殺人感染

来てくれたのは柔道部の顧問だったのだ。


筋肉質な先生に押さえつけられて、幸子は身動きが取れなくなっている。


その隙にカッターナフイフは取り上げられた。


慌てて純也に駆け寄る。


気がつかなかったけれど、純也の体は恐怖で小刻みに震えていた。


カッターナイフを取り上げられた幸子はどうにか逃げ出そうと抵抗をしているが、組み伏せられたままでうまくいかない。


でも、これでは先生も動けない状態だ。


どうにかして幸子を拘束しないと!


「なんでもいい、ロープか紐を持って来てくれ!」


先生の叫びに、ロッカーの付近にいた生徒がすぐに動いた。


掃除道具入れを中を確認し、荷物紐を持ってきた。


学校行事で使用した新聞を束ねるために買ってきておいたものだ。


それがこんなときに役立つなんて思ってもいなかった。


先生と生徒は協力して幸子の体を拘束していく。


その間にも幸子は暴れ、雄たけびのような声をあげる。


その表情は苦痛にゆがんでいて思わず視線をそらした。


仕方のない拘束だとわかっているけれど、クラスメートが無理やり縛られるのはつらかった。


それにしても、理恵も幸子も突然どうしたんだろう。


急に人が変わったみたいに攻撃的になって、生徒たちと切り付け始めてしまった。


トイレで倒れていた子は首を切られていたし、もしかしたらそのまま死んでしまったかもしれないのだ。


そう考えて体が寒くなるのを感じた。