殺人感染

「嘘でしょ雪? ねぇ、どうして目を開けてくれないの?」


香が何度も雪の白い頬をなでる。


その頬に大粒の涙がこぼれ落ちた。


「香……」


純也が声をかけたその瞬間だった。


香がカッと目を見開いて振り向いたのだ。


大きく見開かれた目は充血し、涙がたまっている。


「お前らが雪を殺したんだ!!」


香の叫びに全身が震えた。


「あ……」


なにか言いたいのに言えなくて、言葉は喉の奥につっかえる。


「どうして雪にこんなことしたの!」


香は唾を飛ばしながら怒鳴る。


だって、こうするしかなかった。


こうすれば、雪が治ると知っていたから……!


「人殺し!」


香があたしを睨みつけて叫んだ。


その瞬間雷に打たれたような衝撃を感じた。


人殺し……。


あたしはその場に崩れ落ちてしまいそうになるのを、どうにか耐えた。


そうかもしれない。


あたしは自分が生き延びるために他の生徒を攻撃してきた。


結局、殺人鬼になってしまった子達と同じことをしてきたのかもしれない。