殺人感染

「ありがとう遥。でも、もう大丈夫だから」


弱弱しい声。


それはすでにすべてを諦めているように感じられ、焦燥感が走る。


「なにが大丈夫なのよ! 全然大丈夫じゃないから!」


必死に耳を押さえて叫ぶあたし。


どうしてこんなに血が止まらないんだろう。


これだけ抑えているんだから、早く止まってくれればいいのに!


願うような気持ちで雪を見る。


「ダメなんだよ遥」


「え?」


「あたし、血液の流れを良くする薬を飲んでいるの」


え……?


そんなの初耳だった。


全身から血の気が引いていくのがわかった。


「だから、もういいから」


雪は微かに微笑んでいる。


「でも、そんな、まさか」


自分でも何を言っているのかわからなかった。


血液の流れをよくする薬を飲んでいたら、出血は止まりにくくなる。


そのくらいの知識、あたしだって持っていた。