「最近よく噂になってるね、殺人鬼のこと」


雪が気になるように首をかしげ言う。


「なに? もしかして怖いの? 大丈夫だよあたしがついてるから!」


香がオーバーに声を上げて言い、雪の腕に自分の腕を絡めた。


「怖くはないよ、ただの噂だもん」


雪は苦笑している。


「あたしたちちょうど16だから、都市伝説が気になるんだよ。殺人鬼の当時の年齢って16歳だったんでしょ?」


あたしが言うと、香が雪から離れてうなづいた。


「そうみたいだね。だから16歳の子に殺人鬼と同じアザが出現するんだって!」


「アザができた子は、同じような殺人鬼になるんだよね? それって、殺人鬼に操られてるってことなのかなぁ?」


雪は首をかしげたままだ。


アザができた後豹変するなら、その考え方であっていそうだ。


「仮にそんな世界になっても、遥は大丈夫そうだからいいよね」


不意に香にそんなことを言われてあたしは瞬きをした。


「だってほら、ちゃんと王子様が助けてくれるでしょう?」


ニヤつきながらヒジであたしの腕をつつく香。


その瞬間昨日のデートのことを思い出して、頬が熱くなるのを感じた。