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外は家の中以上に湿気が多く、出た瞬間やっぱり引き返そうかと考えてしまった。


重たく沈んでしまいそうになる気持ちを奮い立たせて、学校への道のりを歩き始める。


まだ少し早い時間だから、回りに同じ小学生たちの姿はなかった。


それでも僕はキョロキョロと見回しながら学校へ向かう。


歩道を、公園を、水路の中まで確認してゆっくりゆっくり歩いていく。


そうしている間にいつの間にか学校の校門が見えてきて、僕は誰にも気がつかれないように肩を落とした。


今日も収穫なしか。


世橋小学校とかかれた門をくぐり、6年3組の教室へ向かう。


1年生から4年生までは1階で、5、6年生は2階の教室を使っている。


最上階の3階は音楽室とか、図書室とか、理科室とかが入ってるのだ。


ほんの少しの期待と、どうせダメだろうという諦めの気持ちを抱きながら3組の教室のドアを大きく開く。


そして視線をめぐらせ、僕はまた肩を落としてしまった。


金木梨乃の机は今日も誰もいない。


主を失った机はどこか寂しく見えて、僕はすぐに視線をそらせてしまった。


とぼとぼと自分の席へと向かっていたとき、僕の心境なんてお構いなくガラガラと大きな音を立てて戸が開かれた。