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1時間目の授業が終わり、15分休憩に入った時だった。


「おもしろそうなゲーム買ったんだぜ!」


と、啓治が大きな声で言った。


振り向いてみるとみんなに見せびらかすように小型ゲームを持ち上げている。


当然、ゲームは持ち込み禁止だ。


でも、啓治はそんなこと少しもきにしていないみたいだ。


「へぇ! それってどんなゲーム?」


大夢が大げさに興味を示している。


いつもの様子に興味がなくなり、僕は次の授業で使う国語の教科書を取り出した。


「これはな、人間の記憶をゲーム化できるゲームなんだ!」


自信満々に言う啓治に僕はまた視線を向けた。


人間の記憶をゲーム化できるゲーム?


なんだそりゃ。


どうせまた啓治の作り話だろう。


「たとえばイジメられている人間の記憶なら、いじめっ子を退治できればクリア! 高思い中の記憶から、相手にOKしてもらえたらクリアなんだ!」


啓治は熱心に説明しているが、そんなゲームがあるわけがない。