先生の言葉に一瞬違和感があった。


全員アキナ……?


僕はジッと梨乃を見つめた。


梨乃は困ったような表情で先生を見つめている。


「いや違う。梨乃は梨乃だ」


僕はそう言いきった。


だってここで最初にあったとき、僕は梨乃のことをそのままの名前で呼んだ。


アキナなんて名前知りもしなかったから。


それでも梨乃はあの時ちゃんと反応してくれたんだ。


「なにを言ってるんだ」


先生は呆れたような、僕を哀れむような声で言う。


だけど僕は信じている。


梨乃は梨乃のままだと信じている。