「今日の重行つまんないんだけど」


今まで樹里の機嫌を損なわないようにしてきた重行なのに、ついに樹里を不機嫌にさせてしまった。


重行は泣きそうな顔で樹里を見ている。


そんな仲間でも樹里は簡単に切り捨ててしまう。


「じゃあみんな重行なしてしりとりしようよ! 今日は特別に重行の悪口も混ぜていいからさぁ!」


「そんな!」


重行が慌てて止めようとするが、樹里にひと睨みされてしまった。


「なにか文句でもあるの?」


威圧的な態度で言われて重行は口をつぐむ。


そして、左右に首を振った。


「はい決定! じゃあしりとり再開するよー! 今度は重行のバーカから開始!」


樹里の言葉に教室中がドッと湧いた。


蕾も一樹もおかしそうに笑っている。


普段クラスカースト上位にいる人間がターゲットになると、それだけで場は盛り上がる。


カーストトップから転落してくるのをみんなが待ち望んでいるからだ。


そこから先は重行の悪口ばかりでしりとりは展開されていく。


もちろん、あたしがその中に加わることはないし、調子に乗って笑ってもいけない。


だけど青い顔で黙り込んでいる重行を見ると、これは大成功だと呼べるのだった。