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樹里と蕾からの暴力は10分ほど続き、やがて飽きたように不意に帰って行ってしまった。


あたしは痛む体をどうにか起こして壁に寄りかかった。


弱い力だったとしても、10分間ふたりから殴る蹴るの暴力を受けるのはきつかった。


あちこちに擦り傷ができていたし、紺色の制服は真っ白に汚れている。


あたしは制服の汚れを払い、血が出ている箇所をハンカチでぬぐっていった。


幸い、大きなケガはしていない。


動くと痛いけれど打撲程度ですんでいるみたいだ。


「そろそろかな」


壁に寄りかかった状態で呟いて、スマホを取り出した。


ゴクリと唾を飲み込んで画面を確認する。


スマホのトップ画面には《規制アプリ》という名前のアプリがダウンロードされていた。


あの日、あの屋上で、勝手にこれがダウンロードされたのだ。


消そうとしても消すことができず、何度か自分で使ってみて本物だということもわかっていた。


このアプリがあたしのスマホに入ったのはただの偶然じゃない。


これは運命なのだと感じた。


これから始まる復讐のため、あたしは選ばれたのだ。


だから自らこの高校にやってきた。