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それからは、授業が終わるたびに教室へ向かって田中先生から教科書を借りたり、返したりして時間が進んで行った。
すごく面倒なことだったけれど、その間は樹里たちがなにもしてこないので、安心していられる時間でもあった。
そしてようやく6時間目の授業が終わり、掃除時間に入ったときのことだった。
「おい」
低い声で呼ばれて振り向くと珍しく一樹が立っていた。
一樹はあたしに声ををかけたのに関わらず、興味のなさそうな表情を浮かべている。
「な、なに?」
あたしは持っていたホウキを両手で握り締めて聞き返す。
力の強い一樹に声をかけられると、それだけでたじろいでしまう。
「放課後校舎裏に来いってよ」
それは樹里からの伝言だった。
わざわざ一樹を使うということは、逃がさないといっているようなものだった。
あたしはゴクリと唾を飲み込んで一樹を見た。
「き、今日は、予定があって……」
どうにか断ろうとするが、あたしの予定なんて誰も聞き入れてくれるものではなかった。
「来なかったら、明日もっとひどいことになるぞ」
一樹はそう言うと、役目は果たしたとばかりに教室から出て行ってしまったのだった。
それからは、授業が終わるたびに教室へ向かって田中先生から教科書を借りたり、返したりして時間が進んで行った。
すごく面倒なことだったけれど、その間は樹里たちがなにもしてこないので、安心していられる時間でもあった。
そしてようやく6時間目の授業が終わり、掃除時間に入ったときのことだった。
「おい」
低い声で呼ばれて振り向くと珍しく一樹が立っていた。
一樹はあたしに声ををかけたのに関わらず、興味のなさそうな表情を浮かべている。
「な、なに?」
あたしは持っていたホウキを両手で握り締めて聞き返す。
力の強い一樹に声をかけられると、それだけでたじろいでしまう。
「放課後校舎裏に来いってよ」
それは樹里からの伝言だった。
わざわざ一樹を使うということは、逃がさないといっているようなものだった。
あたしはゴクリと唾を飲み込んで一樹を見た。
「き、今日は、予定があって……」
どうにか断ろうとするが、あたしの予定なんて誰も聞き入れてくれるものではなかった。
「来なかったら、明日もっとひどいことになるぞ」
一樹はそう言うと、役目は果たしたとばかりに教室から出て行ってしまったのだった。