血に塗れた姿のままで廃墟から出ると外の風が心地よかった。


血なまぐさい空気が洗われていく様だった。


途中でどこかの公園によって、血は洗い流しておかないといけない。


そう思って歩き出したときだった。


誰もいないはずの廃墟周辺から足音が聞こえてきてあたしは振り向いた。


「あ……」


そこに立っている2人の人物にあたしは口をポカンと開ける。


伊代の両親だったのだ。


伊代の両親はなにも言わずにあたしに近づいてきた。


そして、憎しみをこめた視線をあたしへ向ける。


「伊代の遺書を奪って行ったのはあんたでしょう!?」


突然言われてあたしは後ずさりをした。


どうしてこの人はこんなに怒っているんだろう。


あたしは伊代の復讐を果たしてあげたのに。


「伊代の机にはなにかを書いた形跡があった。それはきっと遺書だったのに、どこを探してもないんだ。第一発見者の君が持って逃げたんだろう?」


その通りだった。


だけど、悪いことをしたわけじゃない。


きっと、話せばわかってくれる。


「それは、そうなんですけど」


肯定した瞬間、頬に熱を感じて横倒しに倒れこんでいた。


殴られたのだと気がつく前に、2発目が飛んでくる。