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「重行、これから時間ない？」


翌日の放課後、あたしは教室を出ようとする重行に声をかけた。


あたしから重行に話かけることはめったにないから、重行はそれだけで混乱したように視線を泳がせている。


でも、今のクラスカーストトップはこのあたしだ。


あたしの言うことを重行が断るはずがなかった。


「あるよ」


思っていた通り重行はうなづいた。


あたしはそんな重行と共に学校を出て、行き先も告げずに歩き出した。


あたしと重行という組み合わせを見て、生徒たちは不思議そうな表情を浮かべてい
る。


「あ」


学校を出て少し歩いたところで、前方から見知った顔の男性が歩いてくるのが見えた。


田中先生だ。


先生は前回学校に来たときと同じスーツ姿だったが、フラフラとさまようように道を歩いている。


スーツもあちこちが破れて泥だらけでボロボロになっている。


顔には無精ひげが生えているし、顔は真っ白と言っていいほど青ざめている。


今日で飲まず食わず５日目のはずだ。


以外にもしぶといみたいだけれど、もう限界も近いだろう。