重行はふんっと鼻を鳴らして戻ってくる。


その顔は芸をした犬が、飼い主に褒めてもらいたがっているように見えた。


「さすが重行」


蕾がはやし立てて、重行は調子に乗る。


「明日は上履きかくしてやろうか」


そうして、そんな幼稚なことを自信満々に言うのだった。