「じゃ、そういうことだから」


樹里の答えを待たずに席を離れようとする。


そんな一樹の腕を樹里が掴んで引き止めた。


「待ってよ一樹! どういうこと!?」


「そのままの意味だ。お前にはもう飽きた」


冷たい言葉に樹里の動きが完全に停止する。


一樹の腕を掴んでいた手も、するりと落ちて行った。


それを見たあたしは席を立ち、一樹の後ろに立った。


そして樹里へ向けて微笑みかける。


樹里は一瞬あたしを睨みつけてきたが、すぐにそれも失われた。


あたしが樹里の恥ずかしい動画を持っているからだ。


「行こうよ一樹」


あたしはなれなれしく一樹の名前を呼んで、自分の席へと戻ったのだった。