この部屋には二人きり。
優斗くんは寝ていた体を起こし、ベッドの柵に背中を預けてどうにか座る格好になる。
私はベッドの脇にあった椅子に座り、優斗くんと向き合った。
その時、会場から大きな声援が聞こえてきた。
試合が終了したのだろう。
結果が気になるけど、優斗くんは気にしていない様子。
「詩織、俺さ、Jリーグから誘われてるんだ。大阪のチームなんだけど。卒業したらそっちに行くつもり。俺、Jリーガーになれると思うか?」
「うん、なれるよ。優斗くんならすぐにレギュラーになると思う」
「そっか。ありがとう」
「優斗くん、凄いね。すぐに有名人になっちゃうね。なんか嬉しい」
優斗くんは少し照れたように微笑み、付き合っていたころとはまるで違う、穏やかな口調で私に話し始めた。



