ハーフタイムの控室で、

イライラが頂点に達している優斗先輩はイスを蹴飛ばし、冷静さを欠いていた。

他の先輩がそんな優斗先輩に冷静になるよう促す。


少し落ち着きを取り戻した優斗先輩は俺の隣に座り、この緊迫した状況の中で俺にしか聞こえない声で、


「詩織とはどうなった?」

なんて聞いてきた。


俺は目を真ん丸にして優斗先輩を見る。

優斗先輩は今さっきまで殺気立っていたのに、詩織の話をした途端、穏やかな顔になった。


「今っすか、今その話って・・・」

「おう、今だからだ。詩織に告ったのか? 詩織はなんだって?」

「告ってないですよ。できないです、そんなこと」

「お前、俺に気を使うなよ。俺は詩織と何もないんだから」


いやいや、さっきの見てたらお似合いカップルですよ、優斗先輩。


「まぁいいや。俺もう一度、詩織に告るぞ、いいのか?」

そう言って優斗先輩は笑いながら俺を見た。

やっぱり、優斗先輩は詩織のこと想い続けていたんだな。


こんなかっこいい先輩に、俺、勝てないって・・・。