楽しかった焼き肉デートもあっという間に2時間経ってしまい、お開きとなった。

本当はもっと ”君島先輩”、じゃなくて ”詩織” といたいけど、10時近くになってしまっている。

「遅くなっちゃったけど、詩織のおうちの人、大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。今夜は遅くなるって話してあるから」

「じゃ、送る。自転車だから後ろに乗って。道案内だけよろしく」

「いいの? またごめんね。焼き肉食べたから重いよ、私」

「ふははっ! そんなの平気だよ。早く乗って」

「じゃ、恭介のスポーツバッグは私が背負うね」

出会ったときにそうしたように、俺のバッグを詩織が背負って、詩織は自転車の荷台にちょこんと座る。