「詩織。俺さ、大阪から地元のチームに移籍するんだ。今度こそ返事を聞かせて欲しいんだけど、卒業したら一緒に地元に来てくれないか?」


「ゆ、うと、くん、どうして? 私、わたし・・・」


「ずっと詩織が忘れられなかった。今も好きなんだ」


「あの頃から、ずっと?」


「4年間一度も会わなくても、俺は詩織だけだったんだ」


「私は・・・恭介を選んだ。あの頃、恭介を」


「いいんだよ、そんなの。それは過去だろ。それともまだ恭介を想っているの?」


「ううん。今はもう思い出に変わってるよ」


「俺はもうあの頃みたいな幼い俺じゃない。詩織、返事はすぐじゃなくていいから。だから今度こそ詩織の意思で決めて欲しい」


私は泣いていた。


私のわがままで別れを言わせてしまったこと。

恭介のところへ行け、と背中を押させてしまったこと。

こんなにも長い時間、優斗くんを苦しめいていたこと。

それなのに優斗くんは私を受け入れてくれている。


私も、もうあの頃とは違う。大人になった。

一時の感情だけで、決めてはいけない。


けど。


優斗くんとなら一緒に並んで歩いていけるような気がした。

今の優斗くんとなら。