俺は全国大会で敗退すると、すぐに大阪へと発った。

もう詩織には会わないつもりだった。

全国大会の数日前、詩織の親友の那美に、詩織への伝言を頼んだ。


『今までありがとう』と。


チームからは卒業式に出席する許可を貰っていたが、俺は俺の意思で卒業式には参加しなかった。


詩織は4月から東京の大学への進学が決まったらしい。

那美から教えてもらった。


そして那美にお願いをした。


詩織を、

詩織のことを本当に時々でいいから教えてくれないか。

元気にしているかだけでもいい。


だから、卒業してからも詩織の親友でいてくれ、と。