好きと言われたあの日。

詩織を送るバスの中で詩織が眠そうにしていたから

「詩織、降りるときに起こしてあげるから、寝てていいよ」

「ありがとう、優斗くん」

そう言うと、詩織はあっという間に眠りに落ちた。

俺とは反対側に傾けていた詩織の頭をそっと俺の肩に向けて、詩織の寝顔を見ていた。

その可愛い寝顔に、その小さな唇に、そっとキスをした。

寝てるときに襲うなんて、ごめんな詩織。

俺にとっては初めてのキス。

これは絶対に誰にも言わないと誓った。

でも好きって言われたんだ。許してくれるよな。


俺はこの時、ずっとずっと詩織を見守るって決めたんだ。

たとえ詩織から別れを告げられたとしても。