「早くそのバッグを貸して。遅刻しちゃう」
「遅刻しちゃうって、俺のせいじゃないですから」
私は無理やりそのバッグを奪い取り、自分の肩に掛けた。
「お、重っ!」
「ほら、無理でしょ。返して下さいよ。俺まで遅刻しちゃう」
「大丈夫だって。さ、早く行こ!」
「はぁ~。じゃあ乗せますけど、振り落とされないようにしっかりつかまってて」
「お願いします!レッツゴー!」
「レッツゴーじゃないっつーの」
この人、重そうに自転車をこいでいる。
そりゃそうだよね。自分のバッグだけでも重いのに、私まで乗ってるんだもん。
なんか、ごめんなさい。
息を少しだけ吸って、息を吐き出してから止めて、を繰り返し少しでも軽くなるよう無駄な努力をしたりして。