「俺さ、詩織に待ってて欲しいって言えない。自分でもこの先どうなるのか分からないんだよ。もしかしたら海外に行ってそのままってこともあり得る話だし」


「うん」


「だから・・・さ」


やっぱり恭介の出した答えと私の出そうとしている答えは同じだったね。


今夜話すつもりは無かったけど、恭介が話してくれたから私も私の気持ちを恭介に打ち明けるよ。


「恭介、私も恭介のことは待たない。私がいると恭介が自由に動けなくなるでしょ。そんなの私の本望じゃないの。恭介は恭介のやりたいことをとことんやって欲しい」




「俺、詩織のことが大好きなんだ。ずっとずっと大好きなんだ」



「私も恭介のことを嫌いになってこんな話をしているんじゃないの。私も恭介のことが大好きなの」



これ以上会話をしなくても私たちは分かり合った。



決して嫌いになって別れるんじゃない。



お互いの未来のために、お別れするの。



私たちは一年前の私の卒業式で泣いた時以上に今夜は泣いた。



2人で抱きしめ合いながら、枯れることのない涙を流した。