「詩織、本当にごめん。知らなかったとはいえ、俺が悪い。よりによって俺、K大しか受験しないんだ。滑り止めとか願書出してなくて」

「それだけK大学に行きたいって強い希望があるってことでしょ。もし、別の大学の二次募集とか受験するって言ったら、そっちの方が私は嫌だよ。恭介はK大学へ行くべきだよ」

「詩織、一緒に暮らせないんだよ。俺、そっちの方が楽しみだったのに」


私は息を深く吸って、深呼吸をする。


「私も一緒に暮らすことを楽しみにしてた。でもね。恭介は恭介の将来のための選択をして。間違えた選択はしないで」

「俺の将来は詩織とあるんだよ」

「じゃあ、たった4年だもん。これからの何十年のためのたった4年。あっという間じゃない。だから恭介、まずは受験を頑張って」

「うん。受験は頑張るけどさ。けど・・・」

「もう、この話は恭介が合格してから考えよう。今はステーキを食べるよ。たくさん食べてね」

この夜、試合で疲れている恭介は自宅へ。

私は実家に泊って、それぞれがこれからのことを、答えの出ないこれからのことを考えた。