誰もいないと分かっているのに、そーっと部屋に入る。

詩織はとても綺麗好きなのは知ってる。

詩織の実家に遊びに行った時も、詩織の部屋は余計なものが置いてなくてスッキリしていた。

俺が来るって知らなくても詩織の部屋は整ってるな。

料理もできるし、将来は絶対にいい奥さんになるだろうな、俺の。


テーブルにひまわりのブーケを置き、俺はトイレに行こうと洗面所の前を通り、コップに目をやる。

そこには詩織のピンク色の歯ブラシと、俺のブルーの歯ブラシが仲良く並んで立っている。

それを見ただけで、俺の鎖骨の辺りがキュッってなる。

早く詩織に会いたい。俺、本当に詩織が好きだ。