今日はサッカー部の練習がオフだったから、恭介とのデートを兼ねてアパートの下見に大学の近くまで来てみた。


「そっかー、ここが詩織の通う大学なんだ。凄いな、門から校舎まで遠いな。この真っ直ぐな並木道を詩織が毎日通うことになるんだ」


「うん、そうだね。なんかかっこいよね、この真っ直ぐな道。来年は恭介も来てくれるんだもんね。そしたら一緒に過ごせるね」


私は来月からの新生活よりも来年の恭介とスタートする新生活の方が楽しみで仕方がなかった。


「ね、恭介。来年同じ大学になったらさ、本当に私たち一緒に住むの?」

「えっ? 今頃何言ってんの、詩織。そんなの決まってることでしょ。当たり前のこと聞かないでよ」

「じゃあさ、少し広めのアパートがいいよね。それぞれの部屋があった方がいいかな」

「あー、でも寝室は一緒でしょ? ね、そうして! お願いします」

その恭介のお願いがストレート過ぎて、顔が赤くなる。

「詩織、何想像してんの? やだな」

「なっ、なにも想像してないよ。バカ!」

「ははっ、詩織って可愛いな」


恭介は笑って、空に向かって大きな声で叫んだ。


「俺、来年が楽しみだー! 詩織と一緒に生活できるんだもん」


すれ違う人たちが恭介の声にびっくりして私たちを二度見する。

「ちょっと恭介。 声! 声大きいって」

「えー、いいじゃん。幸せは他の人にも分けてあげなきゃ」

「もう! ほら、行こう。駅前の不動産屋さんへ行って色々なお部屋を見せてもらおう」