思い切り泣いたら、なんかスッキリしたみたい。

あっ! 恭介のウィンブレを涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしちゃった・・・ごめん。

涙も止まり、そーっと恭介の顔を見上げる。

「泣き止んだ? もう大丈夫?」

「うん。恭介、ありがとう。スッキリしました」

「そっか。ならいいよ」

「でね、恭介、ウィンブレ脱いでくれない?」

「なに、詩織。俺を裸にして、ここでヤる気?」

「ちっ、違うよ、バカ! 色々な私の分身を付けちゃったから、洗ってお返しします」

「汚なっ!」

「だから、ごめんって」

「ばーか! そんなのいいっての。ここに付いた詩織の分身は、詩織にそのままお返しするのだ!」

そう言って恭介がグチャグチャになった部分を私の制服にくっつけようとした。

「きゃー、やめてよ! 汚い!!」

「汚いって! どの口が言う! おらーーーっ」

私たちはきゃーとか、うおーとか言いながら追いかけっこになってしまい、私は泣き笑いしながら走って、疲れて。

恭介のおかげで、優斗くんのことを忘れられると思った。

この日から何年もJリーグの試合も、優斗くんの活躍も一切見なかったし、聞くこともしなかった。

これで良かったんだ。

恭介、ありがとう。