「ねえ、詩織、なんでそんな哀しい顔で優斗を見ているの?」
えっ? 私、哀しい顔してる?
「そっ、そうかな? 優斗くんが知らない人に見えたから、少し寂しくなっただけだと思う」
「知らない人じゃないでしょ。優斗はいつでも優斗だよ」
「うん、そうなんだけど」
それ以上那美は何も言わず、会見に目を移した。
「優斗くん、Jリーグで活躍できるといいね。日本代表とか、入れるといいね。私も那美と一緒にずっと優斗くんを応援するよ」
「私はJリーグだったら違うチームのファンだから、優斗の応援は詩織だけがしててね」
那美は私にそう言って、笑っていた。
会見が終了すると、那美は先に帰って、私は恭介の練習を観に行った。