「直接言えないから、伝言なんじゃない? 優斗ね、この全国大会が終了したらすぐに大阪に行くことになってるんだって。学校は公欠できるみたいで」

「そうなんだ。前は卒業したら引っ越すって言ってたけど。早くなったんだね」

「多分、もう詩織に会えなくなるから、今までありがとう、って伝えて欲しいって」

「伝言ってそれだけ?」

「うん。それだけ」

「どうして? 私、昨日の夜も優斗くんと話したよ。なのにそんなこと一言も言ってなかった。そんなに急にいなくなるの?」

「昨日、優斗と話したんだ?」

「うん。今日の試合、頑張ってって伝えたの」

「優斗、それだけで十分だったんじゃないかな。きっと嬉しかったと思うよ」

「那美、なんかね、なんか悲しいかも。優斗くんとお別れなんだね」