「もう、やだ優斗くん。あの時のは忘れてよ」

「はははっ。で、どうした?」

「明日、一回戦でしょ。緊張してるのかな? って思って」

「緊張ねぇ。してるっちゃしてるし、そうでもないような気もする」

っつーか、今のこの電話が一番緊張してるんですけど。

「なに? どっちなの、それ? ふふっ」

「俺もわかんねーよ。もう気持ち的には神の領域に入ってるからな」

「あははっ。優斗くん、変なこと言うね」

「マジで、どうした? 何かあったのか?」

「ううん、何もないけど。優斗くんに頑張ってね、って言いたかっただけ」

「そっか。ありがとう。応援してくれて嬉しいよ」

「明日、応援に行くからね。二回戦あたりから受験が重なってるから、優斗くんのサッカーが観られるの明日だけかもしれないの」

「そっか。詩織も頑張れよ。絶対合格しろよな」

「うん、ありがとう。優斗くんも、絶対勝ち進んでね」

「おう! お互い頑張ろうな」

そうお互いにエールを送って電話を切った。

はぁ~、びっくりした。

まさか詩織から応援の電話を貰えるなんて、思ってもいなかった。


明日は詩織の前で絶対に勝つ!