うわ、俺って現金なヤツだ。これだけで気持ちが上がる。

しかも、詩織の真っ赤が俺にも伝染したみたいで、寒かった顔が熱くなった。

「恭介」

詩織は小さい声で、俺の名前を囁く。

そして、俺をギュッと抱きしめてきた。

自転車でのニケツ以来だな、詩織が俺を抱きしめてくるのは。

まあ、あの時は俺の故意だったけど。

弱い力で俺を抱きしめてくる詩織が愛おしい。

さっきまで悩んでいたことが消えたわけではないけど、詩織の言う通り、明日からはサッカーのことだけ考えよう。

でも今夜だけは、詩織のことだけ考えさせて。