「恭介は来週からの全国大会のことだけ、考えて。もし私が行ってもいいなら、恭介の練習を観に行きたい。ずっと恭介の側にいるよ?」
「練習観に来てくれるの?」
「行きたいけど、いいのかな」
「ねぇ、詩織。練習を観に来るだけなのに誰にそんなに負い目を感じてる?」
「そんなんじゃ、ないけど」
それは優斗先輩がそこにいるからだろ。
一年前、詩織は、毎日優斗先輩の練習を観に来てた。
それを俺はずっと見てきたんだ。
それなのに、俺と付き合い出してから俺の練習は一度も観に来てくれたことがない。
詩織は放って置くと、あっという間に手の届かないところへ行ってしまう。
そんな不安がいつも消えない。
「ごめん、詩織まで寒くなっちゃったね。もう家に戻って。俺も帰るから」
今夜は何を聞いても否定的にしか受け止められない。
これ以上一緒にいたら詩織に当たってしましそうだ。



