「きょ、恭介、どうしたの? 何かあった?」

詩織をさっきよりもっと強く抱きしめる。

「俺、早く大人になりたい」

「恭介、そんなに急いで大人にならなくていいよ。何を焦っているの?」

「詩織に置いて行かれちゃう気がして。俺、余裕ない」

俺は震えていた。

それは寒さからなのか、心に不安を抱えているからなのか。

「私、置いてかないよ。恭介と一緒にいるよ」

俺は焦っている。

確証はないけど、さっきの電話の相手は優斗先輩だったんじゃないかって。