学校へ到着すると、君島詩織は俺の名前を聞いてきた。

やっぱり俺の事なんて知らないよな。

さっきの天にも昇るような幸せからどん底に突き落とされた気分。

しかも、焼き肉をご馳走してくれるって言いながら、俺の連絡先は聞いてこない。

それよりも俺はとてつもない失言をしたようだった。

俺は君島詩織の存在を知っているんだと驚かせたかったのに、

「サッカー部なら全員知ってるでしょ」 って。

その言葉の裏には

「あなたは優斗先輩と付き合ってた元カノ」だから、サッカー部は全員知ってるって。

地雷を踏んだらしい。

彼女の目が一瞬で寂しい目に変わった。



まだ優斗先輩のことが忘れられないのだろうか。

好きなのだろうか。