俺はその歩いている女とすれ違う時、チラっと顔を見た。 君島詩織だった。 俺がいつもこのバス停で見たいと思っている先輩だった。 目が合った。 君島詩織は俺を呼び止めた。 突然声を掛けられて心臓が止まるかと思った。 平静を装って 「何っすか?」 なんて冷たい口調で返事をしてしまった。 やっぱりこの人は可愛い。 俺はこの人を、優斗先輩の隣にいるこの人をずっと見てきたんだ。