「君島せん、ぱい?」

しゃがんで泣いている詩織に合わせて俺も側でしゃがむ。

「優斗先輩、行っちゃいましたよ」

すると詩織は

「優斗くんは関係ないってば」

って、すっごい剣幕で俺に当たる。

はぁ? なんで俺がキレられてんの?

優斗先輩も意味わかんないけど、詩織も訳わからん。

「じゃあ、なんで泣いてんですか? なんで俺を呼んだ?」

詩織はやっと俺に顔を向けた。

めっちゃ泣いてんじゃん。どした? 詩織。

「恭介とちゃんと話がしたいの。一緒に帰ってもらえない? それとも、この後誰かと約束してる?」

だから、何で俺なんだよ?

今日は優斗先輩と帰るだろ、普通。

「別に約束なんてしてないけど。優斗先輩と一緒に帰らないんですか?」

「だから、優斗くんは関係ないんだってば!」

またキレられた。なんなの、詩織。

そんな可愛い顔で怒らないでくれる?

俺に話って、何?

この度晴れて優斗先輩とお付き合い復活します、宣言?

俺、詩織に何回振られたらいいの?

まだ一度も告ってないってのに。

「分かりました。じゃ、部室行ってからすぐ戻ってきます」

俺は覚悟を決めた。詩織から何を聞かれても驚かない。

俺は、大人だ!

祝福ぐらいしてやるぜ!