二次会まで参加してお開きになる。
最後まで残ってたのは新入社員含めて二十人だ。

みんなが店の外に出てきたのを確認すると、そこで解散となった。
帰る方向ごとに、みんながばらける。

自然と坂口くんとまた二人になる。
二次会では全く話さずに終わったから、一次会ぶりだ。

なぜかさっきから全然タクシーが捕まらない。
タラタラとどこに向かうでもなく歩く私たち。

「休みの日って何やってるんですか」

坂口くんが話題を振ってくれる。

「映画とか海外ドラマ観てる」

そう言った時、足がよろけた。

「大丈夫ですか」

坂口くんが笑う。
そして自然に私の手を取った。

「車に轢かれますよ」

酔いの回る頭が一瞬だけ正常になる。

あまりにも自然に繋がれた手。

今の大学生って誰とでも手繋ぐものなの?
でもこれはただ私がフラフラしてるからだ。

「海外ドラマってどんなやつですか」

軽くパニックになってる私をよそに、坂口くんは平然と会話を続ける。
私もハッとして答えた。

「最近観てたのは、アメリカじゃなくて韓国ドラマなんだけど、イ・・」
「インチョンの約束!」
「そう、それ!観たことある?」
「俺も観ました!やばくないすか、あれ」
「号泣!」

そこまで言ってまたバランスを崩してしまった。

コケた拍子に、坂口くんも私に引っ張られて転ぶ。