暗闇に、坂口くんの顔。

なんとも言えない笑みで私を見てる。

大きな手が私の頭に乗る。
そして口を開く。

「そしたら、また、たこ焼きパーティーに誘う」

可愛く笑う。

「俺がまた奪いに行くから、大丈夫」

若気の至りかもしれない。
もう3年後は奪ってくれないかもしれない。

でも、まっすぐにそう言ってくれる坂口くんが心の底から愛おしかった。

「たぶん、これが最後じゃないよ」

そう言って抱きしめてくれる。
すごくすごく繊細に私を撫でてくれる。

坂口くんがこの時全部を包み込むようだった。

次の土日には、もう坂口くんは日本にいない。
そんな寂しさも全部、包み込んだ。