いつからだっけ。



雫を“女の子”として好きになったのは。



「………はぁ」



ため息が宙を舞って、消えていく。



僕の雫への想いも、こうやって消えてくればいいのに。



…なんて、そんなことを思っても意味が無い事はわかってるけど。



「は……て、ダメだね。これくらいにしておこ」



またため息をつきそうになって、慌てて飲み込んだ。



幸せが逃げるとよく言うけれど、それは幸せを感じている人が言うものであって。



今を不幸せと感じている人にとっては、もう逃げる幸せも残っていないんじゃないかな。