「ゆうき、せんぱ、」

「黒崎さんっ!」



私の言葉をかき消すくらいの大きな声が路地裏に響いた。

驚いて、声のするほうを見る私。

そこには先ほど、祐樹先輩を囲っていた男の人たちが数人、息を切らしながら立っていた。



「黒崎さん! 怪我してるじゃないっすか!」

「かすり傷だ」

「かすり傷を超えていますって!」



男の人たちが祐樹先輩に駆け寄る。

1人の男が、他の男に止血するものを持ってきてもらうよう指示をしている。

バタバタと騒がしくなる路地裏。



「祐樹先輩。この方たちは……?」

「暴走族のメンバーだ」

「そ、そうなんですね」



なんだか、拍子抜けだ。

暴走族って、仲間思いなんだな。

さっきまで祐樹先輩と楽しそうに談笑していたり。

そうかと思えば、仲間のために心配したり、行動したり。

そんな暴走族の人たちが素敵だな、って思えるのは。



「祐樹先輩が率いる暴走族だから、素敵な関係があるんですね」



私がそう言うと、祐樹先輩は少し考えたあと首を横に振った。



「違う。あいつらが、個々に熱い想いを持っているからだ」



そっか。

彼らの様子を見ていたら、なんだか納得できる。

だけど、彼らのことを認めている祐樹先輩が総長だからこそ、彼らがひとつになっているんじゃないかなと、思う。