祐樹先輩、助けてくださいよ。


そう思って、祐樹先輩に視線を向けたが、祐樹先輩は微笑んでいるだけだった。

やっぱり、祐樹先輩は意地悪だ。

ザ・ドS・祐樹先輩。

これからはそう呼ばせてもらおう。

いや。

そう呼んだら、もっと意地悪される気がしてきた。


保健室で騒ぐ私たち。

他の生徒がいないからこそ出来る、非日常。

みんなと、こうやって騒ぐ日が来るなんて夢みたいだ。

嬉しい。

そう思ったら自然と笑顔がこぼれた。



「あ! 奈々ちゃん、笑ってる!」



瑠衣くんが後ろから私の顔を覗き込む。



「ようやく笑ったな」



星矢くんが私の頬をつまんで、微笑む。



「奈々は笑顔が似合う」



祐樹先輩が腕を組みながら目を細めた。


瑠衣くんも。

星矢くんも。

祐樹先輩も。



「みんなも、笑顔が似合うと思います!」



私の言葉に、顔を見合わせる彼ら。

それから、ふっと笑って。

声をあげて笑い合った。

楽しくて、幸せな時間。


だけど。

今日は、まだ終わらなかった。