私はあとずさりをする。

出来るだけ、みんなが水を浴びることはないように。

案の定、大和撫子さんはあとずさりをする私を追いかけてくる。


ガシャンッ。

フェンスが背中に当たる。

ここまでくれば、水をかけられても大丈夫。



「早くやりなよっ」



ギャル集団が大和撫子さんに声をかける。

その声にビクッとした大和撫子さん。

だけど、バケツを思い切り高く上げて。

いつでも、私に水をかける準備は出来ているようで。

私はぎゅっと、目をつむった。


バシャンっ!

水がなにかにぶつかって、はじける音がする。

だけど、私の体に冷たいものはあたらなくて。

そっと目を開ければ、目の前は真っ暗。


私、抱きしめられている?



「つめた……」