翌日。

私は、お腹が痛いから学校を休む、と言った。

私の顔色も悪かったんだろう。

彼らは私の言葉を信じて学校へ向かった。

それから、私は荷物をまとめて寮を出る。

寮の前には高級そうな車が止まっていた。



「奈々ちゃん。……病院まで送るよ」

「学園長……。よろしくお願いします」



後部座席に座る。

まとめた荷物を膝の上でぎゅっと握る。

車の中は静かで、会話がなかった。


それでいいんだ。

余計なことを話してしまうと、ぐるぐると考えてしまうから。

もう、彼らのことは考えないようにしよう。

今は、おばあちゃんのことを考えよう。

おばあちゃんが元気を取り戻してくれるように。

おばあちゃんが目を覚ましてくれるように。

おばあちゃんがもう一度、私の名前を呼んでくれるように……。


車が停車した。

うつむいていた私は顔を上げる。


……病院だ。

おばあちゃんはここにいるんだ。

学園長に案内されて、私は病院の中に入る。

消毒液のにおいがした。

ナースセンターで事務的な会話をして、病室に案内される。