世界でいちばん 不本意な「好き」



面倒はいや。平和に生きたい。だってそうすれば、だれも傷つけなくて済む。

わたしはもう、わたしが言った言葉で、わたしがとった行動で、わたしがしてきた内容で、だれかを傷つけたくないって思ってる。


どうしてこのひとは、何も言っていないのに、わかっちゃうんだろう。

あてずっぽうかな。それともこのひとの理想のアリスがそれなのかな。


そうであれば、わたしと同じだ。

わたしの理想のアリス。


だから癇に障るし、くるしくなるし、それでいて、どうしてか避けられない。けっきょくこうやって話をしてしまうのかもしれない。



「でもアリスはさ、俺には素直じゃん。いろんな感情出してくれるよな」

「自意識過剰じゃん。あのね、言っておくけど、わたしはきらいなひとにはなんでも言えるの!」


きらいなひとなんて初めてできたけどね。


だけどとても大声で言えない。国民的アイドルグループのひとりのことがきらいです、なんてさ。

わたしにとってはただの隣の席のしつこい出戻り年上同級生なのになあ。


「へえ、学校のみんなのこと好きなんだね」


うれしそうに笑う。茶化されてる気分だ。


「なっ……う…う、うるさいんですけど……」


そうだよ。あんたのことはきらいで、みんなのことは、好きなの。ちゃんと好き。

だから、本当のわたしなんて、絶対に誰にも知られなくない。