わたしを一番にしてくれるひとはどこにもいない。
「いーから」
これ、なんかしら答えないとしつこくされるやつだ。
「きらいなんだもん」
しかたなく、あきらめたようにつぶやく。久野ふみとに出会ってからこういうのばっかりだ。
答えに納得してくれたのか青髪を揺らして笑ってる。こどもみたく笑うのはショーマの人柄を一番表しているみたいで、今はあまり見たくない。
「そう言ってやんなよ。まあでも、冷たくするだけ無駄だと思うよ」
「無駄?」
「あいつ、ふみとな、みんなに当たり障りなく優しいアリスにあんな態度とられてんのにぜんっぜんヘコたれてねーの!昨日なんてあのあとアリスが褒めた服装の回がどれくらいの時期の放送だったかとかどんな感想言ってたのかすげー聞いてきた。あれはな、周りには猫かぶってイイコチャンしてるアリスが自分にだけ悪態ついてくるのを気に入ってる態度だわ」
「や、…どえむ?」
否定しようかと思ったけれど思い当たる節はあった。だいぶ迷惑だ。
「ちげーよ。可愛いがってんだろ、アリスを」
「……は」
可愛がってる…?
戸惑っているとげらげら笑われる。文句を言おうと口を開いたら、すかさず頭に手が伸びてきた。
ぽん、と3回跳ねる。
付き合っていたころと変わらない。
「アリスのことは否定しないけど、素直になれる数少ない相手のことは大切にしてみれば。あんまりたくさん自分に嘘つくなよ」
わかったようなことを。
手を振り払う。
「ショーマ、だるい」
「はは。べつに、もう好かれようとしなくていいからな」
「……帰る」
反省の色なし。こういうところはもしかしたら久野ふみとを真似てるのかも知れない。
「今日のバイトどこ?」
「工場」
「そ。がんばれよー」
どうでもよさそう。それなら聞いてこなければいいのに。
それには返事をせずに正門を出た。



