世界でいちばん 不本意な「好き」



いつまでもずっと話しかけてこようとする異物をいつまでもスルーして、お昼の時間は中庭に行かなかった。


そうしたら穂菜美ちゃんたちが誘ってくれて一緒にお弁当を食べた。

最近やってる恋愛ドラマが毎週楽しみなんだとか、新しくできた駅ビルにおしゃれな服屋さんがいっぱい入っているとか、オレンジシャドウに青いアイラインを引くのにはまっているんだとか、そんなどうでもいい会話を繰り広げる彼女たちに、なんか安心した。最近プレミアムなひとと居過ぎたせいだ、きっと。



「アリス、ちょっと」


いったん寮に戻ってバイトに向かおうとしていたところを、ギターを担いだショーマに呼びとめられた。


「あれ、部活出たの?」


めずらしい、とは言わないでおく。


「今度久しぶりにライブ出るからさすがに弾いとかないと」

「そうなんだ」


わたしはショーマがライブに出るのが久しぶりだってことすら知らなかった。本当にあと腐れはないと思う。それなのに寧音はずっとわたしに突っかかる。


「アリスさあ、なんでふみとにあんな冷たいんだよ」


ちょっと、って、その話をしたかったのか。

ショーマはいつからそんな他人の感情が気になるようになったんだか。


たぶん、久野ふみとが来てからではなく寧音と付き合いはじめてからだ。


「なんだっていいでしょ」


あと腐れはないけれど、気に留めてもいないけれど、でもやっぱり気に入らない。