世界でいちばん 不本意な「好き」





雨もやまないし、もやもやも晴れないまま月曜日になった。

休んでしまいたいけれど皆勤賞を途絶えさせるわけにいかない。


洗濯物を部屋に干しながら何回ため息をついたかな。

始業ぎりぎりの時間に学校に着くと下駄箱で久野ふみとと鉢合わせた。今登校してきたわけじゃなく待っていたような様子だった。「おはよう」と言われ、ばつが悪くなる。なんでだろう。腹が立ったからああ言ったのになんで悪い気になるんだろう。



まるで、本心に逆らっているような…そんな気分。


「しゃべりかけないでって言ったのに」


真っ直ぐに見てくるから、居心地が悪い。逃げるように顔を背けて靴とうわばきを取り換える。


「昨日はごめん」

「…あやまってほしいわけじゃない」

「うん。だけど俺、このまえからアリスのこと泣きそうな顔にさせてばかりいるから」

「っ、泣きそうな顔なんかしてない!」


だから、そういうのが、いやなんだって。

なんでわからないの?いや、ちがう。きっとわかっていてやっている。


「このまえから…じゃない。出会ったときからあんたにはいらいらさせられてる!泣きたいんじゃない。おこってんの!なんでかわかる?何回言ってもそのわかったような態度をとってきたり無理に知ろうとしてきたりするところがいやなの。いやなの!」

「なんでそんな自分の殻に閉じこもるの」

「だからそういうのがいやなんだってば。べつに教えたくないわけじゃない。ふみとやほかの人たちに教える理由がないだけなの」


閉じこもってる?冗談じゃない。


「わたしは、どこにもいない」


閉じこもれるような居場所、いまはもう、どこにもない。


まだ何か言いたそうな顔をしている久野ふみとの身体にわざとぶつかって教室へと走った。

どうせそこも逃げ場にはならないのに。


「アリス、おはよ」

「おはよう」


また今日から、億劫な1週間がはじまる。