世界でいちばん 不本意な「好き」




「付き合ってころといえば、そのころピカロが出てる番組でメンバーの私服紹介が毎週やっててさ。アリスがふみとの服装を絶賛してたときがあったんだよ」


は!?そんなの覚えてないんだけど。


「他人の服装とかキョーミないやつなのにな」

「や、た、たまたまでしょ。今このひと、こんな服装だし」

「だからこれは変装だってば」


そんな堂々と宣言したらバレるでしょ!

慌ててひとさし指を口に添えてジェスチャーする。こっちは気を遣って名前を言わないようにしてるのに、今までどうやって生きてきたんだ。危機感がなさすぎると思う。


仮にも、芸能人。国民的アイドルグループのひとり。活動休止中もあいまって久野史都を求めてるファンは多いんじゃないのかな。



「ふたりが付き合ってたなんてなあ。びっくりした。あと腐れないんだね」


感心してるような声で言われてしまう。まあ、どうしたって冷たい態度をとってしまっている気はするんだけど、そんな装いができているならよかった。


「1年も経つからなー」


ショーマが言うな。


「あんた、うわさとか気にしなさすぎでしょ。けっこう今でも言われるよね」

「おれと寧音のことがあってからよけいな」


そう。しかも気にせず話しかけてくるから大迷惑をしてるのだ。



「うわさとか周りからの評価って、気にしすぎても良いことないだろ。あ、もちろん反省するべきこと別ね」



耳が、途端に痛くなってくる。